「よーう、相変わらず不機嫌だねぇ。頼ちゃん」

「殴られたいか」

「怒りん坊だな、頼ちゃん」

「うるせー」


成の頭を撫でながら俺をからかうこいつと、腐れ縁だと思うと今でも毎日後悔できる。

小学校に入学した当初の自分に教えてやりたい。こいつとだけは喋るなって。


「とまくんも今帰り?」

「そーだよー。一緒に帰る?」

「帰る!」

「帰らねーよ」

「えー」

「えー」


2人分の不満の声を聞き流して成の手を引いた。


成は初めて会った時から、すっかりこいつ――斗真(とうま)にべったりで。

斗真もなんだかんだ成のこと可愛がってるからムカつく......他の女とも適当に仲良くやってるくせに。


「頼ー、ほんっと可愛いなお前」

「キモい。近寄るな変態」


結局、成を真ん中に挟んで3人で帰ることになるのがお決まりのパターン。

あんまり斗真の扱いを悪くすると成が怒るんだ、仕方ない。