「可奈」


翔くんの足が止まる。

俯く私の頭に手を乗せて、ポンポンと優しく撫でてくる。


……やめて、これ以上いると別れが辛くなる。


「可奈」

「……っ、」

「おー、泣け泣け」


泣き方なんて、もうとっくに忘れてしまったはずなのに。


「……なにがあった?」


頬を伝う涙を拭ってくれる手にしがみついて、バカみたいに声を上げて泣いた。



翔くんと離れるなんて嫌だ。

もっとずっと一緒にいたいよ。

他の女の子に取られるなんて嫌だ。

私の隣で笑っていてよ。



嫌だ嫌だ嫌だ、
だけど、もう遅いよ。