中学生になっても、高校生になっても、一向にブレることなく、彼は夢を追いかけ続けた。

苦手な勉強も夜遅くまで机にかじり付いて、人より何倍も頑張って、彼は高校卒業後、試験に合格し、警察学校に入った。



私もずっと、一番近くで彼の努力を見て、できる限りの範囲で彼を支えてきた。

……でも、あの日から私は、彼に「頑張れ」を言わなくなっていた。





『父さんが、死んだ』





ちょうど、彼が10ヶ月の警察学校勤務を全うして交番に配属された頃だった。


スピード違反の車を追跡中に、その車に体当たりされた彼のお父さんは、そのまま道路に投げ出され、亡くなった。

白バイ隊員として一般道路に出るようになって3年目での、殉職、だった。