なんでそんなに嬉しそうにしてるんだろう。

なんでそんなにそわそわしてるんだろう。


「……尋さん?」


名前を呼ぶと、彼女はハッとして気まずそうに顔を背けた。


「もしかしてあの時、三咲先輩が俺のこと好きだって知ってたんですか?」

「……えぇーっと、」

「だから、俺をフったんですか?」

「………っ…」


俺が距離を縮めると、尋さんは後ろに一歩下がる。

真っ暗で表情はよく見えないけど、尋さんが動揺してる気がした。


これは、自惚れでもっていいんだろうか。


「今でも俺が好きなのは、尋さんですから」


逃げる彼女の腕を捕ってそう言うと、尋さんは完全に俯いてしまった。