くふふ、なんて嫌な笑い方して見下ろしてくる彼は、なぜか私の名前を知っていて。


「梅ちゃん、大学で人気者だもん。知らないわけないじゃん」

「同じ、大学なの?」

「武井 和夏(わか)。梅ちゃんと同じ法学部の1年ね」


1年ってことは私より1こ下じゃん。なんでこんなラフなの。

……あれ?待て待て。
“ワカ”ってどっかで聞いたことあるような気がする。


「っ、あっ!」

「うわ、なになにっ」


そっか、思い出した。

法学部期待のプリンス……とかってだっさい名前つけられてた子だ。


「……プリンス、ねぇ」

「ん?」

「なんでもない。って言うか、敬語使おうよ、敬語」

「えー、今更」


堅物君ばかりなイメージの法学部に、さらさら金髪のイケメンとくれば“プリンス”なんて扱いにもなるだろう。

……まぁ、個人的にはとっても苦手な人種だ。