時計の音と心臓の音が
微かに聞こえる。
今度は俺だけじゃなくて
洋太も緊張している様だ
ベッドの上
洋太の隣に俺が座っている
正座で。
この状態で30分は経った
「あ、テッ、テ、テテテレビつけよっカ」
裏返っちゃったよ!
テレビをつけると
恋愛ドラマでお馴染みのラブシーン
気まずい空気が流れる…
「消しますネ」
リモコンを手に取ると
「待って!」
「え?」
「…け、消さないで」
洋太?
ほ、本当に?
「…しよ」
「え?」
「き、す…しよ」
!!!!
ちょ、え!?
早すぎません!?
「僕…仁史のこと大好きだから」
「お、俺もだけど…」
だけど…
俺にはリスクが高すぎるっていうか
「お願い!」
洋太はぎゅっと目をつむって
俺の手を強く握り締める
意を決して
唇に唇を近づける
大丈夫…俺なら大丈夫!
ぶちゅ
「っああああ!」
ほれ見ろ!
だから危険なんだよ!
なんだ『ぶちゅ』って!
「さ、洋太!帰るぞ!」
「うわ、仁史!?」
勢い良く手を引っ張り
洋太を家の外へ出す。
「送ってくよ!な!」
自分でも何がしたいのかわからない。
「仁史ってば!」
急に洋太が足を止める
「よ、洋太…ごめんな」
――「…嬉しかったよ」
え?
「え、嬉しかったって…」
「ま…また明日ね!」
そう言うと洋太は
小走りに去って行った。
洋太…
なんて優しいんだ。
あんなキスでも
嬉しいって言ってくれるなんて
―なんて愛らしいんだ!
俺は人に気づかれない程度に
スキップをして帰った
今日は星が綺麗だな