――理科室は薄暗くて
夏なのに寒かった。

「どうして今日来なかった?」

「…先生、もう終わりにしよ」

先生は黙って俯く

「もう俺のこと嫌いか?」

「そんなんじゃ…っ」

涙が溢れ出す。



窓の外で野球部の声と
吹奏楽部の音色が聴こえる


先生は私に近づく

「愛してたよ、桃菜」

「嘘…!」

「愛してる…」

力強く抱きしめられた


無理だよ

離れることなんて
できないよ…



「私も、愛してる…」

それから先生は
ゆっくりと私を押し倒した

「…先生?」

「愛してるって言ったよな」

いつもの優しい先生じゃない
まるで違う人みたい。

「や、助け…」

―腕に力が入らない。

「助けて!」




――「桃菜!」

鍵の付いた理科室のドアを開けたのは
晴日だった。
後ろには体育の先生。

「桃菜、もう大丈夫だよ」

「晴日…はるひい…」



それから数週間が経った頃
小池先生は姿を消した。

関係を持った私は
もちろん怒られたけど

反省する私を見て
校長先生は許してくれた。

小池先生は
本当に私を愛してなかったんだ
って思うと涙が出てくるけど

大丈夫。
私には晴日がいる。
大切な親友がいる。


――晴日!
ありがと、助けてくれて

えー?えへへ
どういたしまして

大好きすぎる!

はるも桃菜だいすき!



―――ありがと。