あれから、半年が過ぎた…

彼は以前と変わらず、メールをしてくれるようになり
『飯行くぞ!』と誘ってくれるようにもなった。
でも、それは友達として、遊んだり…友達として、ご飯を食べに行くだけの事で…

結局、恋人になれない関係が私にはもどかしく感じた。

もちろん二人でいれるだけで幸せなんだって、わかってても、俊樹に『好きだ』って
言われない事や、どんなに彼を愛しても彼女になれない事が、こんなに辛い事だと知らなかった。

夜、彼の部屋で過ごせる時間もすごく幸せだったはずなのに……

慣れって怖いよね。人をわがままにさせる。

『ねぇ…… 優。 話聞いてる??』

『えっ??あっ…ゴメン。考え事してて…』

『急にボ‐ッとするから心配しちゃうよ。疲れてんじゃないの??もう遅いし
 家に帰るか……?』

『大丈夫だよ(苦笑)ありがとう…俊樹は優しいね。なんか、私たちの事、考えてたら辛く…なって……』

自分の感情が押さえられなくなって涙が出てきた……

『えっ…急にどした??何、泣いてんの…やっぱ体調悪いのか?』
慌てて、顔を覗き込んで心配してくれる彼の優しさが、かえって私の胸を締め付けた。

『ゴメン……ね…体調じゃ…なくて、自分の問題で…』

『優の問題??』

『俊樹・・お願いがあるの。ドライブに連れてって………』

『えっ?今から?』

黙ってうなずくと…

『夜景みたいの?』

『うん』

『ったく、しょうがないな…少しだけだぞ』

コ−トを羽織り支度をすると、玄関の鍵を閉め、私たちは車に乗り込んだ。