『どう?まだ辛い?』

俊樹は静かに目を開けると


『優…来て、くれた、んだ。淋しか、った…』

やっと私の存在に気付いてくれたみたいだった。

『そばにいるから、寝てていいよ』

布団の中に手を入れてそっと俊樹の手を握った。

『優に逢いたかった』

『そっかぁ、ありがとう』

二人でいると、なんでこんなに安心するのかな。


俊樹の胸に顔を埋め、そっと抱きついた。


『少し熱が下がったかもね… お腹すいてない?』

『何か食べたい』

『分かった。今、すぐに作るから待ってて…』

頬にキスをして、台所に向かった。



お粥を作ってベッドに持って行くと、静かな寝息を立てながら俊樹は寝ていた。


寝顔を少し眺めていたら勝手に涙が出てきた…

本当だったら、このまま俊樹と一緒にいてあげたいし病気なのに一人残して寂しい思いをさせるのが辛かった。

(いちお主婦だから泊まらないのが、自分の中のル−ル)

もしかして俊樹のそばに、誰か他の子がいてくれて、それが優じゃなくても俊樹の寂しさを埋めてくれるなら彼は幸せなんじゃないかな…?と少し思った。

『俊樹、起きれる?』

『う、うん。』

腰の後ろにクッションをあてて身体を起こした。

『食べれるかな?』

お粥を俊樹の口元に持っていきスプーンの半分ぐらいを入れてあげた。

『美味しいよ…優、ありがと』

『よかった…早くよくなってね…』

『優…』 『何?』

『お願い…もう少しだけそばにいて…』

『うん、いるから寝てていいよ』

お粥を食べ終わると俊樹は、また眠りについた。