『真央の部屋』とかかれた、可愛らしいプレート。


それが掛かった扉の前で、また深呼吸をした。



今日こそ、はっきりさせましょう。



自分にそう言い聞かせ、ノックをした。



「れ、蓮?」


「………はい」


真央さんの驚いたような声。


「あ、だめ!今はダメ!」


「どうしてですか」


「ちょ、ちょっと待ってね!開けちゃダメだからね!」


焦ったようにバタバタと動き出すのが、扉越しでも分かる。


何を隠してるんですか。
僕にも言えないことなんですか。
もしかして、中にあの男がいるんですか。


黒い感情が沸々と湧いてきて、僕は取っ手に手を掛け、勢いよく扉を開けた。






「わああ!!ダメだってばー!!」



「何を………え?」




男なんて、いない。


そこには、カラフルな紙飾りに埋もれた真央さんがいるだけだった。



「ああ………内緒にしてたのにぃ」


「何、してるんですか」



真央さんはがっくりとうなだれ、呟いた。


「………誕生日」


「え?」


聞き返すと、真央さんは上目遣いに僕を睨む。


「今日、誕生日だよ!蓮の!」


「た、誕生日?」


「サプライズでお祝いしようと思ってたのに………蓮のバカー!!」