3年生の教室がある廊下は、出入りする生徒でごった返していた。
昨夜のテレビの話、恋人の話、好きなミュージシャンの話。
大して耳を澄まさなくてもそんな談笑が延々と聞こえてくる。
長い廊下には8クラスの教室が並んでいる。
俺は一番奥にある8組の教室へと急いだ。
「おっと」
中に入ろうとした俺はちょうど教室から出てくる男子生徒とぶつかりそうになったのだが、相手が素早く1歩引いたおかげで衝突は避けられた。
茶髪で長身の、人懐っこそうな笑顔が印象的な男だった。
「あ、悪い」
「いや、こちらこそ。…あれ?」
男は俺の顔を見ると、君もしかして転校生?と訊いてきた。
「そうだけど」
「そっか、君が…。あ、僕はアカギ ケイ。君と同じ8組。よろしく」
「ああ。俺はホウジョウ イツキ。よろしく」
「うん。…イツキ。あの席になった以上、常に自分は狙われてると思っておいた方がいい」
昨夜のテレビの話、恋人の話、好きなミュージシャンの話。
大して耳を澄まさなくてもそんな談笑が延々と聞こえてくる。
長い廊下には8クラスの教室が並んでいる。
俺は一番奥にある8組の教室へと急いだ。
「おっと」
中に入ろうとした俺はちょうど教室から出てくる男子生徒とぶつかりそうになったのだが、相手が素早く1歩引いたおかげで衝突は避けられた。
茶髪で長身の、人懐っこそうな笑顔が印象的な男だった。
「あ、悪い」
「いや、こちらこそ。…あれ?」
男は俺の顔を見ると、君もしかして転校生?と訊いてきた。
「そうだけど」
「そっか、君が…。あ、僕はアカギ ケイ。君と同じ8組。よろしく」
「ああ。俺はホウジョウ イツキ。よろしく」
「うん。…イツキ。あの席になった以上、常に自分は狙われてると思っておいた方がいい」