「こんないきなり雨が降ってしまって・・」「昨日の天気予報では晴れだったんですけどね」[だから傘を持ってこなかったと・」

二人は静かに顔を見合わせて微笑んだ。

「雨がやんだらどっかでお茶しませんか?」「えっ?」健吾の精一杯の言葉だった

どうやら健吾は文子、この女に一目ぼれしたらしい

「いいですけど、もう用事は終わったし」「じゃあ決まりだ」

小一時間くらいたったろうか・・雨がしだいに小降りになってやっとやんだ

雲から晴れ間が刺した・・・まばゆいばかりの太陽・・

雨のしずくが月桂樹の葉に当たってきらきらしていた

二人はとぼとぼと歩きだした

道すがらぽつぽつと健吾は身の上を話し出した

ばつ一で奥さんと子供は故郷に帰ったこと、自分は今家の手伝いをかねて宝石のデザインをやっていることなど

文子はあまり質問しなかったが微笑みながら話を聞いていた

一軒のカフェが見えてきた白いベンチが店の外においてあるまだそれは雨にぬれてはいるが

こじんまりした感じのよいカフェだった