それからも、仕事の合間を縫って学校に行くという生活をしていて、南郷は私が存在を消して遅れて行っても毎回『おはよー!!』と声を掛けてきた。


でも、そんなに目立つ感じでもなく、よく一緒に居るのは同じように地味な感じの奴等だった。



ただ1つ迷惑と感じたのは、今まで全く存在を消して居たのに、南郷が大きな声で挨拶してくるから、一瞬だけクラスの注目を浴びてしまうことだった。



「なぁ、何で遅れて来たりとか、休んだりしてんの?」
その日も遅れて来て、屋上で1人昼食をとっていると、またもや南郷がついてきて、そう勝手に質問をし始めた。


「答えなきゃいけない?」
私は土足で私の中に入ろうとするような質問に、嫌悪感を感じて少し睨むようにそう聞き返した。

「無理にとは言わないけど。」
「じゃあ内緒。」
「分かった。
じゃあ気が向いた時にでも教えて。」
そして、南郷は自分で遠慮するような事を言ってしまったせいか、少し残念そうにそう切り返した。


「ねぇ…。」
「ん?何??」
何故かは分からないけど、自分からそう話しかけていた。

南郷は突然のそれにも驚いた表情は見せず、首を傾げてその先を聞いてきた。


「何でいつも話しかけてくるの?」
「碧井さん。
俺って碧井さんから見てどんな感じ??
正直に言ってくれて良いから。」
南郷は質問に答える事無く、何故か笑顔で別の事を聞いてきた。


「正直にって…。
ん…、じゃあ地味。お節介。」
私は答えるかすら迷ったが、気づけば何ともあっさりとそう答えていた。



「地味って…ちょっとショックだけど、お節介ってのは当たってるかも。
何か昔からほっとけなくて。
でも、別に人付き合いが上手いわけではなくて、声掛けるのも結構勇気要るんだ。」
「ふーん。」
南郷は少し眉を下げてそう言ったけど、私は特に気にせずそう適当に相槌を打った。

「まぁ、別に話してくれとは言わないからさ。
耳傾けてくれたら嬉しいな。」
「……気が向いたらね。」
私はどう返したら良いか分からなくて、素っ気なく返した。