「結構人多いね。」
「うん。」
「晶、私並んで来るから、ちょっと待ってても。」
「いや、でも悪いって。
俺が並んでくるから、李緒待ってて。

仕事の後なんだし、疲れてんだろ?」
「でも…。」
「良いから。」
私が行こうとすると、引き留めて晶は優しくそう言って、私からチケットを受けとると、行列の後ろに並びに行ってしまった。




待ってる間、特にやる事もなく…壁とか柱に貼ってある、今上映中の映画のポスターを見ていると、その中に私の主演映画のポスターもあった。


勿論私もポスターに載ってる。




どうしよう…。
もしバレたら、晶と一緒に居られなくなるかもしれない。



そんな事を1人アワアワと考えていると、『あのー、』と後ろから声をかけられた。


「えっ、あ、はい。」
振り返ると、女の子2人組だった。




「あのー、モデルの李緒さんですよね?」
「私達、ファンなんです。」
「もし良かったら、握手してもらえませんか?」
女の子達は凄いキラキラした瞳でそうお願いしてきた。


「ありがとうございます。」
私を好きだって、無邪気に言ってくれた彼女達の気持ちが嬉しくて、1人ずつ握手した。