「えっ、気づいた事?
特にないけど…。」
晶はキョトンとして、そう答えた。


「本当に?」
「確かに眼鏡してなくて、髪もおろしてるから、いつもと全然雰囲気違うなとは思うけど。」
「それだけ?」
「うん。
てか何が聞きたいんだ??」
晶は本当に心当たりがないようで、念を押して聞いてみても、私が芸能人だとは分かってないようだった。

テレビとか雑誌とか見ないのかな?




「そっか。
…なら良いの。
変なこと聞いてごめんね。

私からもお願いします。」


病気の事や仕事の事……隠してる事はたくさんあるけど、でも晶が地味で普通の私を好きになってくれた事、私が晶を好きな事、それは事実で今の私にはそれが全てだと思った。



いつか、いつかきっと…私達に別れが来るとしてもそれだけは変わらないと信じたいと思った。

そう遠くない未来に別れが待ってても、少しでも一緒に居たいと思った。



無責任で自己中で我が儘でごめんね。





「やっと振り向いてくれた。
よろしく、彼女さん。」
晶は幸せそうな笑顔でそう言ってくれた。




人にズルいって言ったけど、晶の方がズルいよ。

いとも簡単に私の頑なだった心を溶かしたんだから…。



「よろしく、彼氏さん。」