「ほんと、お前には…敵わない。

ズル過ぎ。」
そう言いながら苦笑いすると、私の方に戻ってきて、倒れた台を起こしてくれた。

私は自分から晶に抱きついた。

駄目だと分かってるのに気持ちが止められなかった。




「えっ、ちょっと。」
さっきは自分から抱き締めてきたくせに、逆にそうなると晶は焦った。


「何で焦ってるの?」
「それ聞く?
聞かなくても分かるだろ。


…前にも言ったけど、お前が好きだから。」
晶は噛み締めるように私の背中に腕を回しながらそう言った。

「うん、ありがとう。」
私も呟くようにお礼を言った。


「李緒、俺と付き合って?」
「えっ、でも、今の私の顔見て何か気づかない??」


『付き合って』って言ってくれた事は嬉しかった。

だけど、私はその前に確認しなきゃいけない事があった。



そう。
私はさっきまで眠っていたので、眼鏡も掛けてなければ、髪も後ろにしばってないし、変装のために普段地味に見えるように多少施してるメイクもきっと取れてる。


今の私はスッピンということで…つまり今の私はモデルで女優の李緒の時の状態に近いのだ。



私はそれに気づかれててもおかしくないと、オズオズと質問してみた。