「李緒!」
急いで何とか追いついて顔を見ると、やっぱり李緒だった。



何故か隣のクラスの香苗さんも居る。



「ちょっ、どうしたんですか?」
「南郷、話はあとだ。
教室戻ってろ。」
「でも!」
「南郷。
頼むから言う通りにしてくれ。

あとで話してやるから。」
担任に少し切羽詰まったようにそう言われて、俺だけ取り残され、李緒は担任の小島と先輩と香苗さんに付き添われて、救急車で運ばれて行った。



李緒は完全に意識がないようで、香苗さんや先輩が呼び掛けていたがグッタリとしたまま何も反応はなく、酸素マスクをあてられていた。




何があったんだ…李緒。





それから、昼休みになり、皆何か話してたので、教室内はザワザワしてた。


でも、中には『あれ、誰?』と言ってる奴も居て、李緒は普段存在感を消して学校で過ごしていたので、李緒に気づいてる奴の方が少なかった。



同じクラスなのに、本当に李緒はあんまりクラスメイト達に認識されてないんだという事を改めて思い知って、心が冷えていくようだった。