「でも、李緒ちゃん。
君の気持ちも分かるけど、もう入院して少しでも進行を抑える治療に…」
「先生。
もう手術出来ない。
しても助かる可能性はかなり低い。

なのにここに留まって、一体私に何が残るんですか??


医者として見過ごせないのは分かります。


でも、私は何があろうと仕事はやり遂げます。

それしか生きた証を残す事も…今まで私を支えてくれた人達に、感謝の気持ちを返す事も……出来ないから。」
私はアニや蓮くん、美希さんやファンの人達の事を考えながらそう答えた。


「そうか。
正直な事を言えば、もう痛み止めとして今処方してる薬も、そろそろ効かなくなるだろう。
入院して、本格的にもっと強い薬でこれ以上の進行を防ぐ方が長く君の命を繋げる最善の策だとは思う…。

…それほど、君の心臓は……。」
「分かってます。
私、結構痛みに鈍い方なのに、それでも痛い時は尋常じゃないですもん。

でも、まだまだやりたい事がたくさんある。


それに友達が…出来たんです。
もう作らないって決めてたけど、気にもなってる。

認めたくないけど…。


だから、私はもう少し生きないと。」
「ちょっと矛盾してるね。」
「そうですかね。」
先生と私は少し苦笑いをした。



「……なぁ、李緒。
俺はやっぱりお前には…俺よりもずっと長く生きてほしい……。」
その後、一緒に来ていたアニと受付でお金を払うために名前を呼ばれるまで待っていると、アニがそう話し出した。