「馬鹿なの?」
「何気、碧井さん照れてるでしょ?

あっ、そうだ。
友達なんだしさ、これからは俺の事南郷じゃなく、晶って呼んでよ。」
「はぁっ?照れてない。
それに、友達になった覚えないんだけど。」
私は別に嫌だとは思わなかったけど、どうしてそうなのか分からなくて、それを認める事も出来なくて……そう返した。


「別に良いじゃん。
碧井さん、下の名前は??」
「秘密。」
「そんな事言わないで教えてよ。」
「嫌。」
「無理。」
「こっちが無理。」
「教えてよ。」
何度否定しても南郷は折れる様子もなく、私の言葉にそう返してきた。


「はぁ……李緒。」
「そう。…良い名前だね。
じゃあ、俺は李緒って呼ぶから、碧井さんは晶って呼んで。」
いい加減しつこいのが面倒くさくなって、私が名前を言うと笑顔で名前を誉められた。



両親が私にくれたもので、今でもある数少ないものの中でも一番愛情を感じる事の出来る名前…。

それを誉めてくれた事が少し嬉しくて、何故かまたドキッとした。


その後に当たり前のように自分も下の名前で呼ぶよう言ってきた。