「実は……ホントに大した事じゃないんだけど…同じクラスの男の子が居てね?
その子にちょっと言われたの。“親に学費払ってもらって学校来れるんだから、もう少し真面目に来れば?”……っぽい事。
でも、それは決して当たり前でもないし…。
私にはそんな両親はもう居ない。
別に今更それをどう悔やんだって仕方ないってのも分かってる。
けどね、あんまりにもそれは当然の事のように言われちゃったから、ちょっときつく感じたんだ…。
仕方ないのにね……。」
あんまりにもアニに心配かけるのは申し訳ないので、少し自嘲気味に笑いながらそう話した。




すると、次の瞬間……ふわっと温かいアニの体温に包まれた。

「無理すんな。
ちゃんとお前の気持ち分かってるから。
それに気にして当たり前だろ?
お前は父さんも母さんも大好きだったんだから。」
アニは優しく私を諭すようにそう言ってくれた。


「ありがと…アニ。」
それが嬉しくて、私はそうお礼を言った。


「気にしなくて良いから、家に着くまでもうちょっと寝とけ。」
「うん。」
アニにそう言われて、私は頷いてゆっくりと瞼を閉じた。




その翌日は、心配症アニに学校を休むように言われて、言う通りにしておいた。

そうでなければ、アニも学校を休むだけじゃ飽きたらず、1日中ついて回りそうだから。