ちょっと心臓が痛くなったので、屋上を出たところで壁にもたれかかっていると、『りーちゃん?』と聞き覚えのある声で呼ばれた。

なので、声のした方を見ると、従姉妹の香苗夜白(カナエヤシロ)が居た。



夜白はパパのお姉ちゃんの娘で、同じ学校に通っていて、隣のクラス。

家の事情も、私の病気の事も知ってて、よく心配してくれる心の優しい子だ。


夜白もまた学校のアイドル的存在である。




「はぁっ…夜白。」
「りーちゃん、どうしたの?
もしかして、痛いの??」
屋上の入り口に繋がる階段の踊り場から、私のとこに駆け寄り、顔を覗き込むようにしながらそう聞いた。


「ちょっとね…。」
「もう!最近また無理してるみたいだし…。
保健室行こう。」
夜白は少し怒りつつそう言うと、私の肩を抱いた。


「いいよ。大丈夫。」
「良いから行くの!
強引にでも連れてかないと、りーちゃんは無理するから。」
そう言って押し切られ、頬を膨らませて真剣な顔した夜白に、保健室に連れてかれた。



それから、肌身離さず持ってた薬を保健室で飲んで、ベッドで眠った。





放課後、夜白から聞いたであろうアニが、こっそり迎えに来て帰る事となった。

「李緒。
何かあったか??」
2人で美希さんに連絡して迎えに来た車に乗って帰っていると、隣に座ってるアニが突然そう聞いてきた。

「えっ、何で?」
何で突然そんな事を聞かれたのか分からない私は少し首を傾げて聞き返した。


「お前、何か無理してる。
体調的にはちょっと落ち着いたっぽいけど、精神的にきつそう…。」
アニは少し私の顔を心配そうに見つつ、そう言った。


「んー…そんな大した事ない。」
「そんな風には見えないけど?
…何かあるなら遠慮せずに言えよ。
お前の話ならどんなにくだらない事でも、ちっぽけな事でも聞いてやるから…。」
アニは優しく微笑みながら、そう言ってくれた。


アニには私の気持ちはお見通しみたい。

昔からどんなに小さな私の変化にも必ず気づいてくれる。