「李緒ー!!」
そうしていると名前を呼ばれたので、声のした方を見ると、アニが屋上の入り口に居た。



「何ー?」
「蓮兄がお前の携帯通じないからって、俺に掛けてきたぞ。」
「ごめん、分かった。」
アニは用件を言いながら、少し私に見えるように携帯を翳した。

そして、私がそう返事すると早々に戻っていった。




「今の人、3年の碧井先輩だよね?
碧井さん、前から一緒に居るのたまに見かけるし…。
兄妹か親戚?」
アニが去ってくのを見届けてると、後ろから南郷が聞いてきた。

「別に…。
……知らない人。」
「完全に嘘でしょ?
今喋ってたの見たし、前にも見かけてるし。
完全身内でしょ?」
とぼけて答える私に、少し呆れ顔でそう返してきた。

「関係ないでしょ?
別に。」
「だって、興味あるし…。」
私が少しきつい言い方しても、南郷はむくれたような顔はするものの、特に変わらない様子で、そう呟いた。


「興味って。
そんなの私に持たないでよ。」
私は少し困った。

そんな事言われたのも初めてに近かったから。


「あれ?もしかして照れてる??」
私の顔を覗き込んで、少し驚いたようにそう言った。
柄にもなく、それで赤面してしまった。


「別に。
知りたいとかあんまり言われた事無いし。
ちょっとビックリしただけ。
心開いたとか、そんなんじゃないから。」
苦し紛れにそう言うと、南郷は見透かしてるような感じで、『分かってる。』と言って微笑んだ。


「兄妹。」
「えっ?」
「知りたかったんでしょ?
兄妹……。
でも、私は目立ちたくないし、ひっそりと学校生活過ごしたいの。
妹って知られると面倒くさいから。
だから、誰にも言わないで。」
私は何故か南郷には明かしてしまった。
言うつもりなんてなかったのに…。