けれど、上には空などなかった。
闇、そのものだった。
気がつけば、あたいの屋台も、沢山いた人々も、隣にいたはずの夜奈も、周りには誰もいなかった。
ただ、闇が広がっているだけ。
だが、今だに笑い声は止まらなかった。
「誰だ…!!」
彼は、そう怒鳴った。
けれど、返事は返ってこない。
絶やさずに、笑い声だけが聞こえてくるだけだった。
まさか…
ここは俺の心の中か…?
彼は、あたりを見渡した。
真っ暗で、先が何も見えない。
いや、先がないのかもしれない。
…可笑しな話だ。
悪魔は、暗闇の中でも辺りは見える。