「変えのズボン…?
それって、あなたが履いたズボン?」

少女は、嫌だと言うような表情で尋ねた。
「別に…新品もあるし…。」

彼は、ふてくされたようにそう言った。
この俺が履いたものが嫌だというのか?
そう思いながら、少女の顔を苦々しい気持ちでみていた。

彼は、人より何倍も自分に自信があった。
顔に仕事に性格…全てが他人から見たら、誰にも劣らない程だと思い込んでいた。

性格は、取り繕っているにせよ、その美貌と仕事の知識は、群を抜いていた。

そんな彼が、会ったばかりの少女に、こんな屈辱感を与えられるとは思ってもいなかったのだ。