時間は午後7時…
夏なので,辺りはまだ薄明るかった。
屋台は沢山並んでいて,人並みも多かった。

「私、かき氷買いたい!」

人混みの騒音の中,隣からは明るい少女の声が聞こえてきた。

「かき氷…?」

彼は,人間意外の食べ物はあまり口にしない…というより,食べても味は感じられず空気を飲み込んでいるようなもので,彼の体では全て消化してしまうので,食べても意味がなかったのだ
なので,彼はかき氷など知るよしもなかった。
ましてや,祭りの屋台に来る事すら始めてだった。

「え…?!かき氷を知らないのっ?」

少女は,驚くように尋ねた。

「あぁ。何だよソレ。」

彼は,苦笑いしながら聞き返した。