「ほんっと…可愛いな…あの子は…」

彼は、部屋の扉にもたれかかりながらそう呟いた。

少女に飛びつかれた時、彼の頭は真っ白になった。
何も考える事ができなくなって、どうしていいかわからなかった。

彼は、部屋の奥へ行き、スーツケースから少女が作ってくれた甚平を取り出した。

「俺は…あの子の事が好きなのか…?」

彼は、両手で甚平を掴み、眺めながらそうぼやいた。

「……いや…まさかな…。
俺が…人間を好きになる訳がない…。」

彼は、苦笑いしながら、自分の心を確かめるようにそう呟いた。