それからタクシーは、長らくしてリゾートホテル“AMAKI”についた。
料金バローメーターは、高額なものになっていた。
だが、彼は気にすることなく、小切手に百万と綴り、タクシーの運転手に渡した。

「なっ!!お客さんっ!!二桁間違ってるのでは………料金は9734ガットルですよ…?」

タクシーの運転手は、焦りながら彼を呼び止めた。
彼は、トランクから荷物を取り出し、AMAKIの入り口に向かって歩き出した。

「間違えてはない。おつりは、お前の好きにしていい。ここまで送り届けてくれたほんの少しの礼だ。じゃあな。」

そう言い残して、彼と少女はAMAKIの中へ入っていってしまった。

タクシーの運転手はあっけにとられた表情で、小切手を握っていた。