「あ…?
いや…別に……。」

彼は、無理やり笑顔をつくって見せた。

「それより、時間がないから、リゾートホテルについたら、部屋ですぐ着替えて祭りに行こう…。…なっ?」

「うん…」

少女は何くわぬ顔で、頷いた。
タクシーは、スピードをだして道路を走りぬけていく。
街は、夕日に照らされて赤くそまっていた。
道を行きゆく人々は、それぞれ違った表情をしていた。
“人間”
…接するのに、こんなにも心を乱すとは……。
この俺が……
闇から生まれし悪魔…。
闇とは暗く重く静寂なもの。
なのに…

彼は、ふっと笑みを浮かべ、また視線を窓の外へとやった。