「ありがとう…うん!」

少女は笑顔で頷いた。
彼は、暗い表情をしながらタクシーを呼び止めた。
そして行き先を告げ、タクシーを走らせた。
彼は、眉間にしわを寄せながら、窓の外の景色を眺めていた。

「…あの……もしかして…怒ってる?」

少女は、彼の横顔を見つめながら浮かない表情で尋ねた。

「え…?」

彼は、座席にもたれかかりながら少女の顔を見た。

「なんか…ごめんね…?
タクシーに乗るの嫌だったのかな?」

少女は静かな声で言った。
タクシーの運転手は、2人の会話に耳を傾けていた。