彼は、人間に頼るのを嫌っていて、何でも自分だけて乗り越えてきていたのだ。
勿論、タクシーやバスを乗ったことがない。
だから、いつも何処へ行くにしても歩きだった。
車の免許をとるのも、人間に教わりたくないので、とらずにいた。


仕方ない、雨に濡れて帰るか…と、心の中で呟き、歩き出したその時だった。
バンッ……!!
後方から来る、少女とぶつかった。

少女は、彼にぶつかった衝動で、水たまりにしりもちをついた。

「いったぁー…。」

少女は、腰に手を回しながら反射的に声をもらした。