「本当にいいの…?」

少女は、目を大きく開きながら彼を見つめた。

「え…
…あぁ。。全然構わないが…」

「夢みたい…。私…旅行とか行ったことなくて…修学旅行も行かせてもらえなくて…。お母さんはしょっちゅう男を変えてて…今は落ちついてきて、ちゃんとお金をいれている人と暮らしているんだけど…私が高校に入る前までは、本当にろくでもないク…クズみたいな奴とばっかと付き合ってて…家……本当に貧乏で…借金が増えていくばっかで…中学の学費とか給食費とか…何も払ってなくて…。。だ…だから…」

少女は、唇を噛み締めながら、つらそうな表情をしていた。

彼は、少女の頭を優しく撫でた。
人間の諸事情に憐れみの感情を持ったことなんて、なかった。
けれど、彼は少女の悲しげな表情を見て、胸がしめつけられるような少女の気持ちに共感するようなそんな気持ちになっていた。