少女は震え上がった声で言った。
血の臭いがする…だと…?
彼は、唾を飲み込んだ。

「…そんな訳ないだろ……」

彼は、目をキョロキョロさせて動揺を隠せずにいた。
その言葉で、少女は彼の顔を見上げた。

「じゃあ何…?この臭いは…?
生臭くて、鼻に残る…。
一体、この部屋は何に使っているの?」

言える訳ない。
この子だけには…絶対。
自分の正体をあかす時は…この子を…

食らう時だ。

彼は、目を閉じ、軽くため息をついた。
それは、少女を落ち着かせるためでもあり、自分を落ち着かせるためでもあった。