「悪い。待たせな…」

「ううん!待ってないよ。」

彼と少女は、エレベーターに乗りこみながら、会話を続けた。

「今日、どこか行きたいとこはあるか?」

「んー…、あ!
そう言えば、今日見たかった映画が公開するんだけど……一緒に観に行きたいな……」

「映画…?
あぁ…かまわないが、何て言う題名の映画なんだ?」

「“SATAN”って言う映画!」

その少女の言葉で、彼の体は氷ついた。
SATAN…日本語にすると、悪魔。
なぜそんな映画が見たいのか、彼は不思議に思った。
そんな映画なんか見なくても、今、隣にいるだろ?そう心の中で呟きながら、彼は苦笑いを浮かべた。