それからしばらくして、風呂場へ入った。
朝なので、風呂場には人があまりいなかった。

彼は、体と頭を洗い、風呂につかると、急ぎめに待ち合わせの場所へ向かった。

彼が、風呂場を出た時には、もう少女が男湯の前に立っていた。
そして、彼が出てくると、
「樺羅さん!」
と言って、笑顔を見せた。

気のせいなのか、そうではないのか、少女の目と鼻が少し赤くなっているように見えた。
だが、少女の笑顔を見ると、さっきまでの不安が安心に変わり、彼は首にタオルをかけながら、笑いかけた。