「ちょっと待ってよー…」

少女は、慌てながら風呂場へ行く準備をし、髪を手ぐしで無理やりとかして、ドアの前で待っている彼の元まで小走りでかけよった。

「支度、できたのか?」

彼は、少女の慌ただしい姿を眺めているうちに、和やかな表情になっていた。

「うん!」

「じゃあ行くか。」

少女が、“うん”と言うように、深く頷いたのを見ると、部屋を出てドアに鍵を閉めて、エレベーターに乗りこんだ。