嫌な音と、感触がどっと押し寄せた。
「いった!痛い!!」
恐る恐る見てみると、親指の側面に、針がざっくりと刺さっていて、赤い血の玉がぷっくりと大きく出来上がっていた。
うわ、ヤバい。
見てるだけで目眩がしてきた。
「何やっているんだお前は!」
先輩の険しい顔と怒鳴り声が、一遍に振りかかってくる。
「せんぱ……これ、どうしたら……」
「泣くな!じっとしてろ!」
痛いやら恥ずかしいやら情けないやら。
色んな気持ちがごちゃごちゃになって、結果、涙が出てきていた。
「先輩……痛い、です……」
「……お前は向こうを見て歯を食いしばってろ」
突然ぐりんと頭を掴まれ、今度は地味に首が痛くなった。
「ちょっ……、先輩?!」
「動くな!今からが勝負だからな……。15秒くらい我慢してろ」
耳元の低い声に、何故かゾクッとした。
こんな時に不謹慎な。何でだろ?
ちょっと甘い気持ちになっていた瞬間、皮膚にびりっと痛みが走った。
「キャーーーーー!!!痛い痛い痛い!!先輩痛い!!!」
「歯ぁ食いしばってろと言っただろうが!!」
嗚咽と呻き声を抑えながら唇を噛み、奥歯を食いしばる。
先輩すぐに終わるって言ったのに!
痛い!