アタシ達は公園を出て、
大人がたくさん通る道を歩き続けた。
気づけばもう、辺りは暗くなっていた。
「着いたよ。お母さん、少ししたら来るから」
アタシ達の行きついた先・・・
それは交番だった。
おまわりさんが出てきて、
すぐに保護された。
2人で親を待っている間、
いろいろな話をした。
「名前、なんていうの?」
「愛羅だよ。」
「愛羅チャンかぁ~
お母さん、来ないね・・・」
「うん・・・
おうち、どこ?」
「・・・言ってもしょうがないよ・・
だって、僕明日の朝引っ越すんだもん」
「そっか・・・
元気でね・・・」
アタシが俯いたトキ、
大好きなお母さんの声が聞こえた。
「お母さん!!」
お母さんに抱きつくと、
その後ろにもう一人、女のひとが見えた。
男の子のお母さんだ。
「ばいば~い♪」
男の子に手を振ると、
男の子は無言で近づいてきた。
すると、
アタシの手の中に、何かを握らせた。
そして、
「ばいばい・・・
また、会おうね」
と言って走って行った。
アタシの手には、さくらんぼのカワイイ
ストラップが握られていた。