「そう、…でもありがとうね。ホント私って教師らしくなくて…。」


そう笑いながら答えてプリントを探す。


棚にプリントはなく、物理実験のための道具部屋への扉を開けて中へ入る。



少し狭いこの部屋には、道具がしまわれている棚が回りに並び、真ん中にも棚が置かれている。


人ひとりが通れるほどの狭い通路。

奥へ行くとプリントが整理された棚を見付けて、恭先生が言っていたプリントを探す。



「あ!やっと見付けた!!…こんな所に…。」


そう独り言を呟きそのプリントの束を持ち、戻ろうと振り返った。

ドンっ!


「わッ!!」



すぐ後ろにいた本石君に思わずぶつかって後ろの棚へもたれる。


プリント探しに必死で本石君来てるの忘れてた…。



「ごめんね。本石君、大丈夫?」



背の高い本石君の表情を伺おうと見上げると、本石君と目が合う。

その何かを言おうとしている真剣な眼差しに

何だか不思議な空気になっていることに、ようやく気付き始めた。

「ちょ、ちょっと本石君?下がってくれないと…出られない…。」


慌ててそう言いながら目を反らし、本石君の靴が映る。