次の日、
外はどしゃ降りの
雨だった。


「出席をとるぞ。」

 
先生の声が雨で
小さく聞こえる。


「青沼。」

「はい。」

次々に名前を
呼ばれていく。

「大西。」

「はい。」

ちらと目だけ
後ろにやる。

彩夏が気づいて
恥ずかしそうに
私をドンっと
押した。

「小林。」

「はい。」

「坂口。」

「はい。」

「沢村。」

「はい。」


淡々と流れていく。



前の席の
男の子は、

坂口という
名前を呼んだ時、
返事をしていた。


「坂口君か…。」


ぼそりと
口に出してみた。


悪くない
名前だと思う。

 
先生が
 「起立。礼。」
と言ったと同時に
その坂口君が
立ち上がった。

180センチ
ありそうなぐらい
大きかった。

近くに
大きい人が
いないので驚く。


「し、身長いくつ?」


思わず
聞いていた。



「さぁ。知らね。」



冷めた返事が
かえってくる。




今日は
気温も寒い。

雨も冷たい。

風も刺すような
寒さである。

それに
彼のこの返事。




冷たいなぁ。




そう思いつつ、

全く寒いと
感じていない
自分に少し
疑問を感じた。