彩夏とは
ゆっくり
話したいから

放課後、
いつもの公園に
行く事で
話がまとまっていた。


今日最後の授業。


授業中、
無意識に
声をかける。


「ねぇ。」

「…。」


ノートから
顔を上げて、

ゆっくりとこちらを
振り返る。


「今朝言ってた事は、どうゆう意味?」

「…。」


眉間に皺。


「…そのまんまの意味だよ…。」


ぶっきらぼうに
答えがくる。


「そのまんま?」

「…。」

「私がへこんでもないのに、顔を下げてたから、顔を上げろって言ったの?」

「…なんていうか…。」

「え?」


坂口君が
少し視線を
落とす。


「なんか、俺が冗談言った後から、顔が伏せ気味だったから…。」

「え…?」

「なんかお前、俺と話した後、結構よく俯くから。」

「…。」

「とりあえず、俺の前で、俺と話した後で、すぐに俯くのやめろ。」


そうだったんだ…。


私、
そんなによく
俯いてたんだ。


「ごめん。無意識。へこんでないし、坂口君と話すの楽しいよ。」


真剣に相手に
伝える。


「…分かった。」


真剣に伝えた

そのつもりだった。



けど、
恐らく私の
気持ちの

半分も伝わって
いないだろうと
思う。


いや、
実際そうだろう。



なんで言葉って
こんなに
不便なんだろう。

想いが全然
伝わらない。


本当だよ。

ねぇ、



本当に



私、話すの
楽しいんだよ。




私、

坂口君の事、


本気で
好きなんだよ…!