「言っとくけど、小林梓も坂口君のこと、好きだと思うよ。」

「ああ!彩夏!!」


あまりに
大声で叫ぶから
必死になって
口を押さえる。


「ごめんごめん。」


少し顔を
赤くしながら、

ゆっくり
私の手を
口からはずす。


「でも…。やっぱりそうだよね…。」

「間違いないでしょ。ってか、好きなのをあんまり隠す気もないんじゃない?」


驚く。


「ど、どうして?!」

「そりゃー、自分が坂口君の事好きなのをアピールして、他に変な虫が寄り付かないようにしてるんじゃない?」


凄いと思う。

そんな発想、
考えもしなかった。


そっか。

小林さんも
恋をしてるんだ。

だから独占
したいって
思ってるんだ。

なんだか
憎めない感じ。


「凄いね。」


素直に口に出す。


「ちょっとー。裕子?感心してたらとられちゃうよ?」

「そうか!」

「裕子~。」


不安そうに
私を見つめてくる
彩夏。


「もうー。油断大敵!!とられる前に行動しないとだめだよ!!」


そう言って、
私の頭を撫で、

私の隣で、
ゆっくりと
自分のお弁当に
箸を伸ばした。