「今日の分は放課後な…。」


それだけ言うと
前を向いてしまった。


今日の分?


何で?


黒板の文字は
待ってくれない。


すでに黒板の
半分が文字に
埋まっていた。


慌ててノートを
取り出し、
ノートをとろうと
したとき…。


「痛っ…!」


左の指に
激痛が走った。


昨日縫った
左手の人差し指。



はっとする。



今日の分…。


もしかして
ノート
貸してくれる
つもり…?


昨日の分も
今日の分も

ノート貸してくれる
つもりだったんだ。


昨日病院に
付き添ってくれた彩夏も
昨日の分の
ノートが無い。


もしかして
私の事も考えて、
授業に出てた?



調子よすぎかな…。



でも、
嬉しい…。



すごくすごく
この人を
好き。


大好き…。




彼のノートには
少し乱暴に

けれど
きっちりと
授業の内容が
書き込まれていた。