次の日。


私が自分の席に
着くなり、
隣の席の高橋君が
話しかけてきた。


「昨日大丈夫だった?」

「え?ああ。大丈夫だよ。心配かけてごめんね。」

「本当に?かなり血が出てたみたいだけど…。」

「昨日あの後すぐ病院行ったから、全然大丈夫だったの。」

「そっか…。よかった。5時間目もいないから焦ったよ。」

「あは。ありがとう。」


なんかまるで
自分の事のように
焦っていた。


「…それより、何で手切ったの?…坂口のせい?」

「違う!」

「え?」

「私が椅子の木で切っちゃっただけ!坂口君は関係ない。」

「あぁ。それならいいんだ。
なんか坂口のパンを受け取ってた後だったからさ。」


高橋君は
なんだか
私の発言に
動揺している。


「…ねえ。まさか坂口君になんか言った?」

「…え?」

「坂口君の事犯人みたいに言った?」

「い、いや。俺はただ沢村さんが心配だっただけで…。」


質問の答えに
なっていない。

けれど、多分
高橋君は坂口君に
何か言ったのだろう。


嫌だな…。


坂口君が
自分のせいだと
思っていたら
なんだか辛い。

好きな人が
自分のせいで
苦しむって

すごく嫌だ…。


なんだか無意識に
高橋君を見る目が
きつくなってしまう。




坂口君は
まだ来ていない。




窓の外は
私の気持ちを無視し、
さわやかな風が
吹いていた。