強くそう感じた時、

指先に
強い痛みを感じた。


「痛っ!」


激しく痛んだ
左手の人差し指
を見てみる。

指先の皮膚が
裂けて、
かなりの量の
血が出ていた。


慌ててタオルで
指を覆う。


「どうした?大丈夫?!」


高橋君が
異変に気付いて
しまった。


「え?どうしたの?」
「何?」


梓さんと渡辺君も
会話を止めて、
私を見てくる。

坂口君もじっと
私の指を
見ていた。


「お、おい。血が出てなかった?」

「だ、大丈夫!ちょ、ちょっと保健室行ってくるね!」


高橋君の声を
遮るようにして
立ち上がる。

最後の
コロッケパンを
放り込み

慌てて教室から
飛び出て
廊下に
しゃがみ込む。


タオルが
かなり赤く
染まっていた。


「裕子?!」


彩夏が
私を追って
教室を
飛び出てきた。


「彩夏…。」

「どうしたの?!慌てて教室飛び出て…」


そこまで言って
息を呑んだ。


それほどまでに
タオルは
真っ赤に染まって
いたからだ。


「ちょ…これ…」

「大丈夫だから!でも保健室まで付き合って。」


彩夏は
ひとつ頷いて
ゆっくり一歩を
踏み出した。





実は
私だって
こんな経験
生まれて初めて。


心底驚いてる。



けど、



何でよりによって
坂口君のパンを
食べてる時に…!


まるで
坂口君が悪い
みたいじゃない!


それは
絶対に無いから。




お願い!




もう、
この血止まって!!




ゆっくり
タオルの下を
覗いてみると

少しではあったが、

まだ血は
出続けていた。