次の日、

学校に行って
ある事に
私は気付いた。



お弁当が無い…。



ショックー。


まぁ、死ぬ訳じゃ
無いから
いいんだけどね。


彩夏は別の班だし
頼むのも悪いし…。

今日に限って
財布を忘れて
きてしまったー…。

購買に行くことも
出来ない。


…よし!
今日は耐えよう!!


自分のお腹に
言い聞かせた。


しかし案の定、
お昼の時間に
なった瞬間

班のメンバーに
心配されてしまった。


「大丈夫?!」
「半分やろうか?」
「金持ってないの?」

「気にしないで!本当に大丈夫だから!!」


全て何とか
断ったとき、

購買にパンを
買いに行っていた
坂口君が
帰ってきた。


「先に食べてるよー!」

「ああ。」


梓さんが
箸を持ちながら
笑顔で坂口君に
手を振った。


仲いいな…。


小さいため息が
もれた。


そして坂口君が
私の隣の
席についた。







その瞬間。


私の机に
パンが一つ
なげられた。


「…え…?」

「昼飯。」

「でも、これ…坂口君の…。」

「俺のパンはこっち。それはお前の分。」

「え…あ…。」


そう言うと彼は
自分の分と
言っていたパンを

もくもくと
食べ始めた。


「あ…ありがとう。」

「ああ。」



ビリ…



コロッケパン
だった。



心底驚いた。



どうして…

どうして
知ってるの?
私がお昼を
忘れたことを。

どうして
私の分をわざわざ
買ってきてくれたの?



あ。



梓さんの
視線を感じる。


怖い。




…でも、




…嬉しい。


…嬉しい。


…嬉しい!!



心臓が
踊ってる。


コロッケパンを
ほおばりながら

坂口君を
盗み見る。



愛おしい…。




彼を


凄く


愛おしく
感じる…。