「実は、僕怖かったんですよ」
オレンジ崎が、ジュースを買いに行くと言うので、黄色崎と二人になった。
黄色崎は、オドオドと、
俺に話しかける。


俺は、寺崎の笑顔しかみたことがない。
笑顔が、無表情か、あいつの表情なんてそれ位だ。
目に光りはないし、
なんかあいつはおかしい。

あれ?あいつこそ宇宙人とかで、目の前の寺崎は、本物なのでは?
と思えてくる。


目の前の寺崎は、
いじめてオーラ満開で、
普通だし、
喜怒哀楽めっちゃあるし、
なんだか、かわいいではないか。
ほっぺを
つねってみた。
「あぅうっ」
涙目だ。
なんかレアである。
ちょっと面白い。

「やめて下さいぅ…」
かわいい。
寺崎かわいい。
い、いや。こいつは男だ!
「すまん」
「ドッペルゲンガーというのは、本物を消すことで、生きていけます」


「本物を消せなければ、人間にはなれません。でも、僕は、誰かを消して生きて居たくはありません。僕は、ドッペルゲンガー社会では落ちこぼれです」

そうか、ドッペルゲンガーにも、社会があるのか。
色々厳しそうである。


「だから、寺崎さんが、どっちかが消える必要ないって、嬉しかったです」