屋上のあれは。
人間だろうか?
まさか自殺?
確かめよう。そうだ、そうしよう。
俺は、学校へ向かうことにした。
階段を上がる。
コツー。
暗闇の学校。真っ暗なのがかなり怖い。
コツ、コツ。
自分の足音が反響する。
そして、屋上にはー。
あれは、
建月か?
「建月?」
「…あれ?先輩」
建月らしかった。
建月は屋上に立っている。まるで
これから自殺をするかのようだ。
「先輩って主人公なんですか?」
「唐突だな」
「主人公じゃないなら、こんな場面にあわないと思います」
「主人公かもしれん」
「絶対攻略されたくないですね」
「おい」
建月は軽く笑う。
「先輩、私はー」
「人を殺したんですよ」
「先輩、私は物語のヒロインになれたでしょうか?」
建月の手は、赤い。
ヌラヌラと赤く輝いている。
ああ、綺麗だ。
不謹慎にもそう、思ってしまった。