「…結婚て。好きな人同士がするんだよ、」




片方だけが想ってたってきっと幸せにはなれないんだよ。




「そう、だな…。悪いな、無理やりこんな事に巻き込んで」




淋し気に笑う理由の意味が花音に理解できる事は無い。




「俺がここに戻ってきたのは花音が願い事をしたから。花音がここに来たのは俺との婚約が成立してしまったから。とりあえず俺が住んでた城に行くか。婚約を解消させるなら王である俺の父親に話を通さないといけないし…。それに、」




言葉を止めたカイルを見やればその淋しそうな表情はそのままだった。




「もし花音がまだ俺と居たいって思ってくれてるんなら。さっきの願い事も、もしかしたら解消してもらえるかもしれないから」




そんな表情が見たいわけじゃないのに。



カイルには笑っていて欲しいのに。