机の上に置かれたえんじ色の巾着。
もともとの色だったのか、それとも時が経つにつれて薄汚れてしまったのか。
荷造りしている時には気付かなかった存在が、こうして荷解きをしてみればその姿を現した。
幼い花音を病院へ連れて行く際に、知人が気を利かせて一緒に持って来てくれたのだろう。
だが、当の本人である花音はその存在など全く目に映らなかったのだ。
それどころではなくなってしまい、その存在すらも忘れていた。
施設へ預けられる際にもいくつかの荷物に紛れてしまっていたのかもしれない。
どうしてこのタイミングで目の前に姿を現したのかはわからないが―――。
花音の頭に昔聞いた言葉が蘇る。
『吹くと欲しい物が何でも手に入るんだよ』
もともとの色だったのか、それとも時が経つにつれて薄汚れてしまったのか。
荷造りしている時には気付かなかった存在が、こうして荷解きをしてみればその姿を現した。
幼い花音を病院へ連れて行く際に、知人が気を利かせて一緒に持って来てくれたのだろう。
だが、当の本人である花音はその存在など全く目に映らなかったのだ。
それどころではなくなってしまい、その存在すらも忘れていた。
施設へ預けられる際にもいくつかの荷物に紛れてしまっていたのかもしれない。
どうしてこのタイミングで目の前に姿を現したのかはわからないが―――。
花音の頭に昔聞いた言葉が蘇る。
『吹くと欲しい物が何でも手に入るんだよ』