「なぁ、」



目線だけは花音の手元に向けたままでカイルが言葉を落とした。




「何?」



「願い事決まりそうか?」




その言葉に動かしていた手が一瞬止まってしまったのは。




「…もう少し、かかりそう」




言葉を零す事に僅か躊躇いを感じてしまったのは。




「そっか。ったく、さっさとしろよなー」




光の灯り始めたかの様なこの生活を手放すのが淋しいのかもしれなかった。